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隣の映画観|映画評|映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(岡山和正)

© 2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

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優れた映画は誰も置き去りにしない―

映画『Fantastic Beasts and Where to Find Them』(ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅)は、映画『Harry Potter』(邦題ハリー・ポッター)の新シリーズとして銘打たれた作品。

 

偉大な前シリーズの存在は、我々の頭から離れることはない。しかし、優秀な新シリーズは、前シリーズの功績をもとに、上手に世の中を渡り歩いていく。

本作も優れた兄弟関係のように、映画『Harry Potter』(邦題ハリー・ポッター)シリーズが作り上げたファンと、教養と言っていいほど周知されている世界観を踏襲しながら、完全に新シリーズとしての個性を発揮している。

音楽も映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズの有名なテーマが予告編などで流れるだけで、本編は基本的に新しい。

さらに、映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズでは、「マグル」と呼ばれていた人間は「ノー・マジ」(普通の人間)と呼ぶことを徹底される。これは、単に設定上のイギリス英語とアメリカ英語の違いには留まらず、そのような設定を作らずに共通でも良かった「マグル」に、あえて新しい言葉を充てることにはきっと意味があると感じた。一つは、現実に存在する文化の違いを織り交ぜることで、ファンタジーに現実味を持たせ、読み手や観客を引き込むこと。もう一つは、前シリーズと新シリーズの違いをしっかりと演出する効果だ。流れは汲んでも同じではない、というメッセージをここから感じ取ることができる。

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本作を彩る登場人物やキャラクターたちだが、「ファンタスティック・ビースト」というタイトルからもわかるように、「魔法動物」たちが作品を鮮やかにしている。正直、名前とキャラクターを覚えるだけで精一杯なくらいだ。そんな魔法動物を見ているだけでもコミカルで楽しい。きっと、小さな子どもたちも満足するだろう。

映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズを愛してきた人たちには、良い意味でその要素が消えていることを味わえる。映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズを知らず、本作から初めて観たという人にも楽しめる作りになっている。私が確認できたのは、「マグル」、「ホグワーツ魔法魔術学校」、「ダンブルドア」という単語くらいだったが、他にもあったかもしれない。コアなファンにとっては、映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズに出てくる言葉や繋がりのあるシーンなどを探すのも、また一つの楽しみになるはず。

© 2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

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本作の魅力は、物語の時代背景の表現にも目が向けられる。1926年のニューヨークが舞台となり、ノスタルジックな街並みの古臭さや音楽、ファッションも良い。街を歩く人々の装いはクラシカルでスタイリッシュだ。劇中の小物にも心惹かれる。物語の中心にある使い込まれた魔法のトランクは、素晴らしいエイジングを重ねた美しい逸品だ。主人公Newt Scamander(ニュート・スキャマンダー)の旅の過酷さを想像させてくれる。余談だが、私はNewt Scamander(ニュート・スキャマンダー)のファッションにも注目して鑑賞した。前シリーズの映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズでは、寮別のネクタイがとても印象的だった。それぞれの寮で、グリフィン・ドールは赤に金、スリザリンは緑と銀、ハッフル・パフが黄色に黒で、レイヴン・クローは青にブロンズのレジメンタルタイがそれぞれ特徴的。レジメンタルは、連隊を意味する単語で、これは所属を表すネクタイとなる。イギリスでは右上がりで、アメリカでは右下がりのデザインというのも有名だ。それぞれの生徒たちが、寮を代表するような形で仲間意識を持っていた映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズの世界観を表現する小物、ファッションとしても存在感があった。本作の主人公Newt Scamander(ニュート・スキャマンダー)は、ボウタイを着用している。魔法を使って、ボウタイを結ぶシーンは細部にまでこだわりを感じ、個人的に印象に残ったシーンである。私が見た限りでは、レジメンタルタイを着用している登場人物は見当たらなかった。邪推をすれば、イギリスからアメリカへと舞台を移したことで、自由の国としてのイメージを表現しているのかもしれない。映画『Harry Potter』(邦題:ハリー・ポッター)シリーズとの線引きなのか・・・と、妄想は広がる。そこに本当に意味はあるのか、無いのかもわからない。けれども、自分の興味の視点から、このように作品を鑑賞してみるのも一興だ。

 

また、MACUSA(アメリカの魔法省)はCGだと思っていたが、壮大なセットだという。優れた映画作品は、画面に無駄なものを出さないと言われているが、逆に考えると画面にあるものは全て意味があるということ。本作でも細かい部分も見逃せない。

どの国、どの世代の人が観ても楽しめる仕上がりの映画『Fantastic Beasts and Where to Find Them』(邦題:ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅)―

誰も置き去りにしない作品だからこそ、次回作以降もついていきたいと感じる。

Fantastic Beasts and Where to Find Them
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

ハリー・ポッターと同じあの魔法世界の新しい物語を綴る本作。新主人公のおっちょこちょいで人見知りの魔法使いニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、動物といる方が気が楽な魔法動物(ビースト)学者。魔法動物は、魔法の力を持つ動物で、かわいらしいもの、こっけいなものから魔法使いを襲う危険なものまで様々で、魔法使いたちがかけた魔法で人間には極力見えないようになっているが、中にはネッシーや河童のように、その魔法が解けたときにたまたま人間に見つかってしまうことも!魔法界にとっても謎の多い魔法動物たちは時に魔法使いたちからも恐れられ、駆除されそうにもなってきた。そんな動物たちを調べ、保護するためにニュートは、不思議なトランクの中を魔法動物でイッパイにしてニューヨークを訪れる。

ある日ひょんなことがきっかけで、大切にしている魔法のトランクを人間(マグル=米国ではノーマジ)のものと取り違えられてしまう!魔法界の魔法動物たちが一斉に人間(ノーマジ)の世界へ逃げ出し、街中が前代未聞のパニックに。新しく出会う仲間たち:ティナ(キャサリン・ウォーターストン)とクイニー(アリソン・スドル)、そして人間であるジェイコブ(ダン・フォグラー)とともに魔法動物を追跡する。やがて彼らは人間界と魔法界をまたにかけた、ある大事件に巻き込まれていく。ニュートは、2つの世界を危機から救えるのか!?

  • 公開: 2016年11月23日(祝・水曜日) 全国ロードショー
  • 監督: David Yates(デイビッド・イェーツ)
  • 原作: J.K. Rowling(J・K・ローリング)『Fantastic Beasts & Where to Find Them』(邦題:幻の動物とその生息地)
  • 脚本: J.K. Rowling(J・K・ローリング)
  • 製作: J.K. Rowling(J・K・ローリング)、David Heyman(デイビッド・ヘイマン)、Steve Kloves(スティーヴ・クローヴス)、Lionel Wigram(ライオネル・ウィグラム)
  • 製作総指揮: Tim Lewis(ティム・ルイス)、Neil Blair(二ール・ブレア)、Rick Senat(リック・セナ)
  • 出演: Eddie Redmayne(エディ・レッドメイン)、Katherine Waterstone(キャサリン・ウォーターストーン)、Dan Fogler(ダン・フォグラー)、Alison Sudol(アリソン・スドル)、Colin Farrell(コリン・ファレル)、ほか
  • 配給: ワーナー・ブラザース映画

Fantastic Beasts and Where to Find Them
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
http://www.fantasticbeasts.jp/

文: 岡山 和正

岡山 和正 (おかやま・かずまさ)

ライター/心理カウンセラー。SOUL SAPIENS(ソウル・サピエンス)の映画評「隣の映画観」を連載、心理カウンセラーの視点と新しい切り口から映画作品を分析。カウンセリングにも映画に関する話題を活用している。また、普段から不登校問題の解決や対人関係の改善を中心に幅広い問題や課題の解決に奮闘。日本国ではまだ馴染みが薄いカウンセリングやカウンセラーではあるが、Health(健康)とMental Health(精神的健康)を重要視する海外のように、対人関係や職場環境等の問題を抱える日本国内でも学校や職場におけるカウンセリングを日常化するために挑戦している。情勢や歴史、精神論にも造詣が深い。

© 2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED. Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights © JKR.

   
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