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生きものの知性とは?を問う新書『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』—個性豊かなフクロウの驚きの生態と知性が明らかに

フクロウの驚きの生態と知性、さらに深まる謎に迫る傑作サイエンスノンフィクション『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』が発売されている!どのような内容になっているの!?記事を読み進めよう!

 
What an Owl Knows: The New Science of the World's Most Enigmatic Birds|フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学
ジョエル・サートレイさんとナショナルジオ グラフィックよる写真集『PHOTO ARK』からセレクトされた個性豊かなフクロウの写真が表紙の『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』 ©︎ Jennifer Ackerman ©︎Joel Sartore/National Geographic Photo Ark ©︎2025 Nikkei National Geographic Inc.
What an Owl Knows: The New Science of the World's Most Enigmatic Birds|フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学

新書『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』のほとんどが文章だが、中には私たちが普段見ることのできない貴重なフクロウの写真も掲載されている ©︎2025 Nikkei National Geographic Inc.

 2020年発売の著書『The Bird Way: A New Look at How Birds Talk, Work, Play, Parent, and Think』(日本語版『鳥!驚異の知能』講談社ブルーバックス刊)などで知られる著名なサイエンスライター/作家のJennifer Ackerman(ジェニファー・アッカーマン)による最新の著書で傑作サイエンスノンフィクション『What an Owl Knows: The New Science of the World’s Most Enigmatic Birds』(日本語版『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』日経ナショナル ジオグラフィック刊)が、2025年9月22日(月曜日)より全国の書店にて発売されている。

 

 視界全体を見据える眼差し、樹木に擬態する体と羽毛、無音の飛翔——3万年前にフランス共和国・ショーヴェ洞窟の壁画にフクロウの姿が描かれ、古代エジプトの象形文字 ヒエログリフやギリシャ神話にもフクロウが登場し、インディアンのディネ(ナバホ)族や他の部族の伝承ではフクロウが知恵と予言の象徴とされ、アイヌはシマフクロウを闇の中の魔物から村を守るコタンコロカムイ(集落の守り神)、エゾフクロウを異変や獲物の在処を教えてくれるクンネレクカムイ(夜叫ぶ神)、小鳥前生譚の伝承もあるコノハズクを山で鳴き声を聞くと凶兆とされるトキットと呼び、ギリシャ人は戦場の上空をフクロウが飛んだときには勝利が待つと信じ、マヤ人は冥界“シバルバー”の使いと考え、小説&映画『Harry Potter』(邦題『ハリー・ポッター』)シリーズでは主人公 ハリー・ポッターのペットとしてシロフクロウのヘドウィグが手紙を配達する役目を担ってマグル(人間)と魔法界を繋ぎ、児童小説『Winnie-the-Pooh』(邦題『クマのプーさん』)ではクマのプーさんが100エーカーの森に住んでいるフクロウ オウルについて「誰かが何かについて何かを知っているのだとすれば、何かについて何かを知っているのはフクロウだ」と言う——ほかにも病気や死などを呼ぶものとされることもあり、全世界の地域や文化で鳥としてはもちろん、古代から神、精霊、知や先見の象徴として、現実と空想の世界を隔てる壁を軽々と越える生きものとして知られる。そんなフクロウを第一線の研究者たちと共にフィールドに出て追い、最新のテクノロジーと観察ツールを用いて、フクロウの生態と知性、深まる謎を紹介するのがジェニファー・アッカーマンの著書『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』。本書は、2023年にアメリカ合衆国で刊行されるや否や、売上累計10万部超を突破し、同国の新聞『The New York Times』(『ニューヨーク・タイムズ』)のベストセラー入りを果たしたほか、雑誌『Publishers Weekly』(『パプリッシャーズ・ウィークリー』)をはじめとする複数の雑誌の年間ベストブックに選出された。

 南極を除く世界の大陸に現存するおよそ260種にもおよぶフクロウについて科学者たちが研究を始め、理解をするようになったのは近年になってからのこと。本書では、他の鳥類と比べ、保護色を持ち、主に夜行性のため、これまで発見も研究も困難であったフクロウの驚きの生態と知性、さまざまな謎を、第一線でフィールドワークをする研究者と共に解き明かしており、「唯一無二の視聴覚で音を“見る”」「暗闇でも狩りができる」「獲物の位置を瞬時に数学を用いて特定する」「樹木に擬態する」「生涯一夫一妻」「ヒナは餌を互いに分け合う」など、その特異な生態と能力が次々と明かされている。さらに、フクロウの保全生態学を専門とする農学博士/国立科学博物館 動物研究部の樋口亜紀が本書の日本語版監修を務め、世界の中でも特にフクロウの人気が高く、生体の輸入数が世界第1位の日本国におけるフクロウ研究のほか、人気動物であるが故の日本国特有の状況と懸念も巻末で解説。本書のカバー、表紙、扉のアフリカヒナフクロウ、アフリカオオコノハズク、シロフクロウ、トウヨウメンフクロウ、アメリカオオコノハズク、コミミズク、コキンメフクロウ、トラフズク、ミンダナオコノハズクの写真は、フォトグラファー/著述家/教師/自然保護活動家/National Geographic(ナショナル ジオグラフィック)エクスプローラーのJoel Sartore(ジョエル・サートレイ)とナショナル ジオグラフィックによるプロジェクトで撮影された絶滅危惧種を含む動物のポートレート写真集『PHOTO ARK』(日本語版『PHOTO ARK 動物の箱舟』日経ナショナル ジオグラフィック刊)よりセレクトされ、私たちがなかなか見ることのできないその個性豊かな姿が目をひくものとなっている。謎多きフクロウに魅せられた世界中の研究者や科学者の不断の努力と、テクノロジーの発展によって明らかになった驚きの生態、そしてさらに深まる謎。本書は、フクロウについての最新知識だけでなく、生きものの「知性」とは何かも問う。ジェニファー・アッカーマンは言う——「フクロウは私たちに見えないものを見て、私たちに聞こえないものを聞いている。つい見逃したり聞き逃したりするものに気づくよう、私たちに促しているのだ。繊細な存在と隠蔽色によって、世界の中でやたら目立つのではなく、世界と調和することの価値を教えているのだ」と。

 

 Jennifer Ackerman(ジェニファー・アッカーマン)の傑作サイエンスノンフィクション『What an Owl Knows: The New Science of the World’s Most Enigmatic Birds』(日本語版『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』日経ナショナル ジオグラフィック刊)は、全国の書店にて発売中。

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INFORMATION
What an Owl Knows: The New Science of the World's Most Enigmatic Birds|フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学

©︎ Jennifer Ackerman ©︎Joel Sartore/National Geographic Photo Ark ©︎2025 Nikkei National Geographic Inc.

フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学
 
個性豊かな生き様から、「知性」とは何かを問いかける。
 
発売: 2025年9月22日(月曜日)
価格: 3,630円(税込)
著者: Jennifer Ackerman(ジェニファー・アッカーマン)
表紙: Joel Sartore(ジョエル・サートレイ)写真・著『PHOTO ARK』シリーズ
翻訳: 鍛原多惠子
監修: 日本語版 樋口亜紀(国立科学博物館)
品番: ISBN: 978-4-86313-600-7
目次: はじめに フクロウの正体 / 第1章 フクロウを知る / 第2章 フクロウを理解する / 第3章 フクロウを探す / 第4章 「ホーホー」と鳴くもの / 第5章 フクロウの繁殖 / 第6章 去るべきか、去らざるべきか / 第7章 捕らわれのフクロウ / 第8章 なかば鳥、なかば精霊 / 第9章 フクロウが知っていること / おわりに フクロウを救う
仕様: 480ページ / ハードカバー 181x131mm
発行: 日経ナショナル ジオグラフィック
取扱: Amazon楽天ブックス紀伊國屋書店丸善ジュンク堂、全国の書店、ほか

日経ナショナル ジオグラフィック
フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学
https://nationalgeographic.jp
NATIONAL GEOGRAPHIC
https://www.nationalgeographic.com

 

 

©︎ Jennifer Ackerman ©︎Joel Sartore/National Geographic Photo Ark ©︎2025 Nikkei National Geographic Inc. Japanese Translation ©︎2025 Taeko Kajihara

Joel SartoreさんとNational Geographicによるプロジェクトで撮影された絶滅危惧種を含む動物や昆虫のポートレート写真集『PHOTO ARK』からセレクトされた個性豊かな9羽のフクロウの写真と表紙が目をひく、Jennifer Ackermanさんの著書で傑作サイエンスノンフィクション『フクロウ 地球上で最も謎めいた鳥の科学』。本書は、人類の知性や能力なんぞちっぽけなもの、私たち人類よりも遥かに上回る知性と能力の持ち主がいることを知らしめてくれる。地球上の自然食物連鎖の頂点にいると自惚れ、勘違いしている人類は、もしかすると、その底辺にいるのかもしれない。ウイルスにも弱く、プランクトンよりも儚い、野生のクマにも襲われ、私たちに見えないもの聞こえないものをフクロウは見て聞く・・・インディアンのラコタ(スー)族、ディネ(ナバホ)族の家族に迎え入れられた数少ない日本人の1人、NATIVE SPIRITの正木大 a.k.a. Cangleska-wakanさんによる詩の一文の表現を引用して言うなれば「つばさのひと、よつあしのひと、ちをはうひと、みずにいるひと」彼らの方が人類よりも長く地球上に存在し、私たちよりも進化し、遥かに上回る知性や能力を持っていることは明らかだ。そろそろ私たちは、自然や動物にもこれまで以上の敬意を払い、人同士、他者はもちろん、自然や動物にもやさしく接することを学び直し、自分たちのあり方を見直すときがきている。そういえば、くまのプーさんが言っているのだが「動物に話しかける人はいるけど、聞こうとする人はほとんどいない。それが問題なんだ」と——最近、日本全国でもクマが出没し、人を襲うようになっているが、なぜ出没するのか、なぜ人を襲うのか、クマの生息地に住む方や公務員は、クマの声なき声に耳を傾けて聞いてみるといい。本来は聞かなくても知性や感性、想像力をもって考えればわかるのが人だが、人に知性や感性、想像力がなく、考えなくなってしまった証だろう。本書の「フクロウは私たちに見えないものを見て、私たちに聞こえないものを聞いている。つい見逃したり聞き逃したりするものに気づくよう、私たちに促しているのだ。繊細な存在と隠蔽色によって、世界の中でやたら目立つのではなく、世界と調和することの価値を教えているのだ」との一文と、さらに続くJennifer Ackermanさんの一文には、いまの日本人、特に若者への警鐘でもあるように感じる。高級ブランドで身を包み、着飾り、メイクをし、華やかなパーティーに行き、外面だけをソーシャルメディアに載せ、やたらと他者の目をひくようにして数字を増やし、優位に立とうとし、目立ち、同じような人と徒党を組み、専門的な教育やトレーニングも受けていないのに芸能人のように振る舞う。それが悪いことではないが、もっと大切なことがあるように感じるのは、筆者だけだろうか?IT企業やソーシャルメディア運営企業、そのシステムやアルゴリズム、人工知能に唆され、もっと時間をかけて利用するように、もっと投稿するように、もっと宣伝するように、もっともっともっとのループが繰り返し要求され、それに従うことで自分自身や大切なものを見失ってはいないだろうか?それによって、個人情報、プライバシー、貴重な才能や時間も搾取され、本当のしあわせから遠のいてはいないだろうか?本書は、フクロウの最新研究と生態、知性、知識はもちろん、気付き=知ることや理解することの重要性、世界、動物、自然、人との連帯、調和することの価値までも教えてくれる。鳥好きだけでなく、動物や自然、科学が好きなら夢中になって読むことができるのは間違いないのだが、自分自身、さらに言えば人類、生きものの知性とは?も知り、考えたいひとは、読むべき1冊である。

 
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