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ジェーン・グドール“地球上にいるみなさんは毎日地球に何らかの影響を及ぼし続けている”—約6年ぶりに来日し“希望”を講演

非常に困難に見える混沌殺伐とした世界の中で、どうすれば“希望”を持ち続けることができるのか——世界平和のアイコンの1人であるジェーン・グドール博士が約6年ぶりに来日し、講演会に登壇した!記事を読み進めよう!

 
Jane Goodall|ジェーン・グドール
チンパンジーの言語で挨拶をしたジェーン・グドールさん ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
Jane Goodall|ジェーン・グドール

ジェーン・グドールさんはインターナショナルスクールに通う女の子からの質問に優しい眼差しで耳を傾け答えた ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

世界平和のアイコンの1人であり、国連平和大使を務める動物行動学者/環境保護活動家のDr. Jane Goodall(ジェーン・グドール博士)が約6年ぶりに来日し、2023年7月3日(月曜日)に東京・代官山蔦屋書店で開催された来日記念講演会に登壇した。

 

同講演は、2021年に刊行されたジェーン・グドール博士とベストセラー作家である作家/編集者のDouglas Abrams(ダグラス・エイブラムス)の著書『The Book of Hope: A Survival Guide for an Endangered Planet』が世界20ヶ国以上で発売され『The New York Times』(ニューヨークタイムズ)のベストセラーとなり、昨年2022年には日本国でも『希望の教室』(海と月社)として発売されたことを記念して開催。道具を使える生きものは人間だけだと考えられていた中、野性のチンパンジーの生態調査・研究を通して、1960年にアフリカ タンザニア連合共和国ゴンベ国立公園でチンパンジーが道具を使うことなど数々の新発見をしたことでも知られるジェーン・グドール博士は、講演会の冒頭で「もしみなさんがアフリカにいらしたとしたら、私はみなさんをチンパンジーの言語でお迎えします」とチンパンジーの言語で挨拶をして聴衆の心を掴むと、自身の幼少期や母親、キャリア、野性のチンパンジーの生態調査・研究を通じて得た物語について話したほか、世界的な新型コロナウイルスによる感染症のパンデミック、地球温暖化、自然破壊、生物の絶滅、政治的混乱、(公)権力の汚職・暴走、戦争・・・楽観的になるのは難しく、将来・未来への不安が次々に襲いかかってくる時代でも自身が“希望”を抱く(信じる)4つの理由を“驚くべき人間の知性”、“自然の回復力”、“人間の不屈の精神力”、そして“希望”を抱く(信じる)最大の要因となっているのが“若者の力”であると話し、「若者たちが問題を理解し、私たち大人が力を与えることができれば、彼らはその問題を解決できるまで手を休めることはしません」と、世界中で若者たちが環境保護のためや恵まれない人々のために行動していることと、その若者たちの行動のおかげで親や教師といった身近な大人にも影響を与えていることを賞賛した。

しかし、一方で、世界中を旅する中で出会う多く若者たちから「気持ちが落ち込みがちだ」「非常に怒っている」「どうでもいい」という声が聞かれ、その理由を聞くと気候変動や生態系を含めて「あなたたち大人が私たちの将来をすでにダメにしていて、私たちはそれをどうすればいいのかわからない」と、多くの若者たちが希望を失ってしまっているという。今日の子どもたちが置かれている状況は惨憺たる状態であり、「私たち大人は、彼らの未来を傷つけてしまっただけでなく、おそらく産業革命の時代から彼らの未来を盗んできたと言えると思います。では、もう遅すぎるのでしょうか——それとも私たちは、気候変動を軽減し、生態系に関して何らかの行動をとる時間はまだ残されているのでしょうか?私は、その疑問に対する答えは“YES”(残されている)だと思っています」と話し、1991年から自身の組織 Jane Goodall Institute(ジェーン・グドール インスティテュート)と世界各地の若者たちが中心となってそれぞれの地域の特徴に合わせて取り組んでいる、人を助けるプロジェクト・動物を助けるプロジェクト・環境を助けるプロジェクトで構成されたプログラム“根っこと新芽”を意味するRoots & Shoots(ルーツ&シューツ)の成功事例を紹介。今回の訪日の目的が、日本国の学生や若者たちと対話し、日本全国にルーツ&シューツの活動を広げていくことであることも明かした。さらに「地球上にいるすべての人が毎日地球に何らかの影響を及ぼし続けており、その及ぼす影響は私たち次第です」と力強いメッセージを送った。

 

10歳のときに少ないお小遣いを貯めて購入した本『Tarzan of the Apes』(『ターザン・オブ・ジ・エイプス』)の主人公 Tarzan(ターザン)に恋をし、その頃には「私はアフリカに行って、野生動物と共に暮らし、それを本にしよう」という夢を抱き、その夢を語ると周囲には笑われたが、母親だけは「ジェーン、あなたが本当にその夢を実現させたいのであれば、一生懸命に勉強をして、すべてのチャンスを掴んで、決して諦めないこと」と愛情いっぱいに支えてくれたという。ジェーン・グドール博士は、その母親の言葉と、自身が抱く(信じる)“希望”を、来年には御年90歳を迎えるいまもなおノンストップで世界中を旅し、多くの人々に伝え続けている。

ジェーン・グドール博士は、幼い頃から無類の動物好きで、23歳とのきに人類学の権威でアフリカにおける人類の進化の解明に大きな貢献をした古人類学者のLouis Leakey(ルイス・ルーキー博士/1903-1972)と出会い、動物に対する情熱と知識に感銘を受けた同博士から野性のチンパンジーの生態調査を依頼される。1960年、アフリカ タンザニア連合共和国ゴンベ国立公園での研究で、チンパンジーも道具を使うことなど多数の新発見をした。1986年以降は、悪化する一方の環境破壊と貧困を食い止めるべく、森を離れ、世界中を旅し、積極的に講演活動を展開。著書やドキュメンタリー番組も多数あり、大英帝国勲位受勲のほか、京都賞、テンプルトン賞などの数々の権威ある賞を受賞し、世界中の尊敬を集めている。2002年に国連平和大使に任命された。著書『希望の教室』は、ジェーン・グドール博士のキャリアと研究、貴重な写真、ジェーン・グドール博士とダグラス・エイブラムス2人の親密で示唆に富んだ対話を通じて、人間性の中で最も求められているが最も理解されていない要素の1つ“希望”を探究。同書の中で、ジェーン・グドール博士が“希望”を抱く(信じる)4つの理由に焦点を当て、すべてが絶望的に見えるとき、これほど切実に“希望”が必要とされているときに、どうすれば希望を持ち続けられるのか——子どもたちの希望を育むにはどうすればいいのか——などが語られた。

INFORMATION
Jane Goodall & Douglas Abrams - The Book of Hope: A Survival Guide for an Endangered Planet|ジェーン・グドール&ダグラス・エイブラムス『希望の教室』

ジェーン・グドール&ダグラス・エイブラムス著『希望の教室』(海と月社)

ジェーン・グドール&ダグラス・エイブラムス – 希望の教室
 
気候危機、自然破壊、世界的なパンデミック、戦争・・・問題だらけの世の中で、本当に希望など持てるのか?この本では、誰もが求めているのに、じつはあまり理解されていない「希望」について、世界で最も著名なナチュラリスト、ジェーン・グドールが、対話をしながら、深く、あたたかく、語る。彼女が、その並はずれた人生で出会ってきた感動的で刺激的な話、それに写真も多数紹介される。——すべての人に希望を。本書がその道しるべになるだろう。
 
発売: 2022年5月8日(日曜日)
価格: 1,760円(税込)
著者: Jane Goodall(ジェーン・グドール)、Douglas Abrams(ダグラス・エイブラムス)
翻訳: 岩田佳代子
品番: 9784903212739
仕様: 4-6・302ページ
発行: 海と月社
取扱: Amazon、e-hon 全国書店ネットワーク、セブンネットショッピング、楽天ブックス、HMV&BOOKSオンライン、TSUTAYAオンライン、紀伊國屋書店、蔦屋書店、全国の書店、ほか

海と月社
http://www.umitotsuki.co.jp
TSUTAYA オンライン
http://shop.tsutaya.co.jp
 
The Jane Goodall Institute
https://janegoodall.org

 

 

© The Jane Goodall Institute 2023 ©︎ 2023 The Jane Goodall Institute Japan

世界平和のアイコンの1人であるJane Goodall博士が、世界的な新型コロナウイルス感染症によるパンデミック禍を経て、約6年ぶりに来日! 来年御年90歳を迎えるJane Goodall博士は、年齢を感じさせず、力強く、優しい眼差しで、時にユーモアも交えながら観客に語っていた。Jane Goodall博士の組織 Jane Goodall Instituteの日本本部であるジェーン・グドール インスティテュート ジャパンは、今年8月くらいに日本国内でもRoots & Shootsを始動し、キットをリリースする予定だ。Jane Goodall博士は、Roots & Shootsを非常にシンプルなプログラムだという——「参加するための特別な手続きがあるとか、参加料を支払わなければいけないというようなこともありません。学校の中で学生がグループを作り、学校や地域の特徴に合わせて人を助けるプロジェクト、動物を助けるプロジェクト、環境を助けるプロジェクトのいずれかまたはすべてを選んで自発的に行動に移していただく、誰でも参加できるシンプルなプログラムです」と説明した。海外の事例は、『希望の教室』にも書かれているので、興味・関心がある方は同書を読んで、今年8月の発表に備えてほしい。そして、もっと多くの日本人にJane Goodall博士の声や活動に関心を持ってほしい。動物保護や環境保護、気候変動、地球温暖化・・・と聞くと、特に日本人は少しとっつきにくいかもしれないが、動物や自然環境だけでなく、私たち人類・人間とその地域社会をも大切にする活動であることもお伝えしておく。講演会の会場では、SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイの編集長が、SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイとしてもジェーン・グドール インスティテュート ジャパンさんやRoots & Shootsに何らかの形で参加・協力することも宣言!私たちも参加・協力させていただけることが楽しみである。今回特別に、Jane Goodall博士にはTODAY’S HUMANにも登場していただく予定なので、インタビューをお楽しみに!

 
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