企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』開幕—マンモスと一緒に生命とは何かを考える

 
企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』
年代:17,800年前/発掘時期:2002年/発掘場所:ロシア連邦サハ共和国ウスチ・ヤンスク地区イリン・ヴィラフチャアンニア川下流地域 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』

©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』が、昨日2019年6月7日(金曜日)に東京・日本科学未来館で開幕した。

 

地球上に約400,000年前から約10,000年前に生息していたとされるマンモスが、ロシア連邦シベリアの永久凍土から冷凍状態のまま発掘されて100年以上が経ち、ここ数年は気候変動の影響によって永久凍土からマンモスや、マンモスと同じ時代に生きていた生物が多数発掘され、「マンモスはどのように生きていたのか」「マンモスはなぜ絶滅してしまったのか」などの古生物学における研究を維持しつつ、「マンモスは復活するのか」という生命科学の研究に移り変わってきている中で、企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』が開催されている。

企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』は、過去「マンモス、太古の記憶」、現在「永久凍土で待つもの」、未来「その「生命」は蘇るのか」の3つの展示ゾーンから構成され、過去・現在・未来の視点からマンモスと最先端の生命科学に迫り、「生命とは何か」を提起。2005年に愛知県で開催された日本国際博覧会『愛・地球博』で初公開され、大きな話題となったユカギルマンモスの冷凍標本が14年ぶりに再来日、1977年に永久凍土から完全体で発掘された仔ケナガマンモス“ディーマ”が38年ぶりに再来日し展示されているほか、2013年にロシア連邦サハ共和国で発掘されたケナガマンモスの鼻の冷凍標本や、昨年2018年夏に企画展『マンモス展』のために発掘現場を訪れた調査隊が発見したケナガマンモスの皮膚(後脚部分)の冷凍標本、古生物学史上初めて冷凍標本の個体から液体の血液と尿が採取された仔ウマ“フジ”の完全体冷凍標本が初来日し、世界で初めて公開されていると同時に最先端の生命科学でありながらも様々な議論や課題もある「マンモス復活プロジェクト」も紹介。さらに、ロシア連邦サハ共和国の永久凍土から発見された世界初公開を含む古生物の貴重な冷凍標本も展示され、史上最高の規模とクオリティでの開催となっている。また、今月、日本国とロシア連邦の研究チームによってロシア連邦シベリアの永久凍土から約10,000年前に絶滅したとされる凍ったホラアナライオンの子どもの全身や、オオカミの頭部が発掘され、脳や臓器、筋肉までもが確認されたというニュースが世界中で報じられ、タイムリーな展覧会としても注目を集めている。

開幕に先駆け、2019年6月6日(木曜日)にはオープニングセレモニーやマスコミ・報道関係者向けに趣旨説明会が開催され、ロシア連邦サハ共和国からマンモスミュージアム館長のセミヨン・グレゴリエフが来日、本展覧会の展示構成監修をしたタレント/作家/クリエイター/ラッパーのいとうせいこう、生命科学監修をした近畿大学大学院部長/生物理工学部 教授の松本和也、古生物学監修をした野尻湖ナウマンゾウ博物館館長の近藤洋一らが登壇。いとうせいこうは、展覧会の魅力について「現在も続く地球温暖化などの影響で、数万年前の永久凍土から溶け出したマンモスを研究、展示できるというのも皮肉です。恐竜の展覧会も素晴らしいですが、そこに展示されているのはほとんどが骨(化石)で、過去の問題をいま展示しているのが恐竜の展覧会だとすれば、この『マンモス展』は、過去のものがいま生きているかのように展示され、現在の問題(地球温暖化などの問題)があるから新鮮な冷凍標本や血液が出てきてDNAが解析・分析され、遠い未来に向かっている。時間でいうと縦に三層の両極端な展示になっているのは、いままで見たことがありません。文科系の子どもが来ても楽しいでしょうし、理科系の子どもが来ても楽しいでしょうし、何も興味がない子どもが来ても楽しいでしょうし、僕は(漫画で紹介されているマンモス復活プロジェクトを見て)むしろ漫画に興味が出ちゃったというような子どもも出てくるかもしれませんし・・・そういう子どもたちがたくさん出てきてくれたらいいなと思って、僕はノンジャンルの人間として、あえてこのような構成をさせていただきました。面白いと思います」と語った。

ここで企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』の見どころをご紹介する(※この先、冷凍標本の写真が掲載されています。お食事前後の方、苦手な方は、閲覧にご注意ください)。

 

企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

 

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