野生のチンパンジー研究の第一人者 ジェーン・グドール博士が逝去—自然と人類の調和を訴え続けまだ道半ば、享年91歳
世界平和のアイコンの1人、野生のチンパンジー研究の第一人者として知られるジェーン・グドール博士が逝去した。享年91歳だった。


2025年に来日し、日本国の若者たちに“希望”を説いたジェーン・グドール博士 ©︎ The Jane Goodall Institute 2025 ©︎ The Jane Goodall Institute Japan 2025 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
世界平和のアイコンの1人、野生のチンバンジー研究の第一人者として知られ、国連平和大使を務める動物行動学者/環境保護活動家/Jane Goodall Institute(ジェーン・グドール・インスティテュート)創設者のJane Goodall(ジェーン・グドール/1934 – 2025)博士が逝去した。享年91歳だった。
アメリカ合衆国カリフォルニア州に本部を置く非営利組織 ジェーン・グドール・インスティテュートと、その日本支部であるジェーン・グドール・インスティテュート・ジャパンは、ジェーン・グドール博士の訃報を発表。ジェーン・グドール・インスティテュートとジェーン・グドール・インスティテュート・ジャパンによると、ジェーン・グドール博士は、アメリカ合衆国現地時間2025年10月1日(水曜日)、同国での講演ツアー中だったカリフォルニア州ロサンゼルスにて老衰のため、自然死したという。世界中を旅しながら献身の姿勢で自然と人類の調和を訴え続け、まだ道半ば。享年91歳だった。近年は、次代を担う世界中の若者たちに“希望”を説く中で、今年6月に約2年ぶりの来日が実現し、3日間に渡る来日記念イベント『Jane in Japan』(『ジェーン・イン・ジャパン』)に登壇。日本国の人々にも“希望”を届けた。
ジェーン・グドール博士は、幼い頃から無類の動物好きで、23歳とのきに人類学の権威でアフリカにおける人類の進化の解明に大きな貢献をした古人類学者のDr. Louis Leakey(ルイス・ルーキー博士/1903 – 1972)と出会い、動物に対する情熱と知識に感銘を受けた同博士から野性のチンパンジーの生態調査を依頼される。1960年、アフリカ タンザニア連合共和国ゴンベ国立公園における研究で、チンパンジーも道具を使うことなど人類に対する理解を根本から変える数々の新発見をした。1986年以降は、悪化する一方の環境破壊と貧困を食い止めるべく、森を離れ、世界中を旅し、大好きな動物や美しい地球を次世代へと繋いでいくべく講演活動を展開。著書やドキュメンタリー番組も多数。2002年には国際連合第7代事務総長のKofi Annan(コフィー・アナン)事務総長より国連平和大使に任命され、2003年にイギリス連邦王国女王のElizabeth II(エリザベス2世/1926 – 2022)女王陛下より大英帝国勲章を受勲、2024年にアメリカ合衆国第46代大統領のJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領より大統領自由勲章を受勲、その他にも世界的権威のある数々の賞を受賞した。
《Message》 ジェーン・グドール博士がご逝去されたとの訃報に接し、謹んで哀悼の意を表します。ジェーン・グドール博士のご冥福を心よりお祈り申し上げます。ジェーン・グドール博士には、SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイの取材にもご協力いただき、登場していただきました。私たちは、ジェーン・グドール博士が生涯献身の姿勢で地球規模で訴え続けてきた野生動物の保護、自然保護、人類と動物、自然がより調和的で持続可能な関係を築くことの重要性に賛同、その勇気と信念、功績に敬意を表し、ジェーン・グドール博士のメッセージと遺志を受け継ぎ、ジェーン・グドール・インスティテュート・ジャパンへの支援、参加を継続することをここに表明し、ヒトのルーツを含めた霊長類の起源や進化の研究、絶滅危惧種・野生動物の保護、地球環境の改善などに少しでも貢献できればと考えています。ジェーン・グドール博士と過ごしたのはわずかな時間でしたが、とても貴重で大切な時間と思い出です。たくさんの“愛”と“希望”をありがとうございました。心より深く感謝申し上げます。愛を込めて——SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ 編集部一同
世界平和のアイコンの1人であるJane Goodall博士がご逝去されたとの訃報に、私たちは、深い悲しみの中にある。私たちが初めて連絡を取ったのは、2023年の来日直前。私たちの取材依頼をJane Goodall Institute Japanと代官山蔦屋書店が受け入れてくださり、講演会の取材が実現した。そして、講演会の前後、Jane Goodall博士と直接お会いする機会をいただき、お話をさせていただくことに——講演前に、Jane Goodall博士に大好きなウィスキーをプレゼントさせていただいたら、「りんごジュースね!」とユーモアたっぷりに優しい笑顔で受け入れていただき、SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ ClothingのアイデンティティーTシャツをプレゼントさせていただいたら「素敵なロゴね!」と言っていただいたことを、昨日のことのように思い出す。その後、Jane Goodall Institute Japanのご厚意もあり、直筆のお手紙も拝受。これまでさまざまなご苦労をされているだけあり、他者の痛みを知り、他者への思いやりや気遣いも素晴らしく、より尊敬の念を抱いた。実は、SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイの名前とロゴは、Jane Goodall博士の活動やドキュメンタリー番組もきっかけとなっている。SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイのカテゴリー“Universe”で取り上げさせていただいているのも、私たちの世界(観)に共通するからである。“いつかJane Goodall博士を取材させていただき、その存在と思い、功績を日本国の人々にも伝えたい”“何らかの形でJane Goodall Institute Japanへの支援、参加をしたい”と夢を抱き、これまでやってきた。まだまだお話したいこと、お聞きしたいこと、一緒に活動したいことがあったが、それも叶わず・・・。混沌殺伐とする世界、野生動物が人の手によって殺され、絶滅に追いやられている世界、自然や環境が人の手によって破壊されている世界、ひとがしあわせから遠のいている世界で、唯一無二の“愛”であり、“希望”だった偉人 Jane Goodall博士の死は、地球の宝を失ったのと同じである。91歳の生涯をまっとうされたのだが、まだまだやるべきこと、やれたこと、やりたいことがあったと思うので、あえて“道半ば”と表現させていただいた。私たちは、Jane Goodall博士の勇気と信念、功績に敬意を表し、Jane Goodall博士のメッセージと遺志を受け継ぎ、Jane Goodall Institute Japanへの支援、参加を継続することをここに表明する。改めて、哀悼の意を表し、Jane Goodall博士のご冥福を心よりお祈り申し上げます。