ピクサー:グラント・アレクサンダーのアニメーション・映画制作への情熱に迫る―独占インタビュー#2

 
©2016 Ryota Isomura ©Disney/Pixar

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現在のPixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)とWalt Disney Animation Studios(ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ)の社長のEdwin “Ed” Catmull(エドウィン・”エド”・キャットマル)社長は、1986年にApple Computer(アップル・コンピューター/現・Apple(アップル))の共同創業者でもあるSteve Jobs(スティーヴ・ジョブズ)らとPixar (ピクサー)を共同設立した一人ですが、彼はコンピュータ科学者で、元々はサイエンス(科学)・テクノロジー(科学技術)専門の出身です。彼のようにアニメーションにとても大きな熱意を持っている人物ではあるけれど、サイエンス(科学)・テクノロジー(科学技術)に重みを置く人物がいたり、同時にJohn Lasseter(ジョン・ラセター)のようにクリエイティヴなサイドからアニメーションをどんどん発展させていきたいという思いを持つ人物がいたり、そういうような二人がスタートさせたPixar (ピクサー)ですけど、Steve Jobs(スティーヴ・ジョブズ)も大きな影響を及ぼしましたし、色々なところやジャンルから人物が集まっています。Steve Jobs(スティーヴ・ジョブズ)に関しては、新鮮な観点を持ち込む外部の人物という存在で、権威と権力も非常に大きく、彼が持ち込む新鮮な観点を元に数々の大きな決断がなされました。実は、Pixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)のビルも右脳左脳という構造になっていて、ビルの左側がテクノロジー(科学技術)のセクション、右側がアート(芸術)のセクション、中央が食堂やシアターなどがあって、スタッフやアーティスト、ゲストが交流する場所になっています。こういったことからもPixar (ピクサー)は、アート(芸術)とサイエンス(科学)、そして、テクノロジー(科学技術)が融合した集合体と言って良いと思います。

——Pixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)のビルの内部も外部も環境も凄いらしいですね。

そうですね。ビーチのような広場があったり、バスケットコートがあったり、オフィスの中も凄いことになっています。また、以前働いていた職場では常に監視下に置かれていたような気分でした。出社時間、退社時間もしっかりチェックされていましたね。Pixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)は、もちろん会社ですので、個人の責任を全うしなければいけませんし、仕事の締め切りも守らなければいけませんが、やること全てを監視されているわけではないので、自由と責任を自分で管理することができます。もちろん厳しいことや辛いこともあったりしますし、大変な作業も多いですけど、Pixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)で働いていると次が楽しみで、ワクワクする気持ちがなくならないんです。

——Pixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)出身のアーティストには、Tonko House(トンコハウス)のオーナーでアニメーション映画監督のDaisuke “Dice” Tsutsumi(堤大介)監督、同じくTonko House(トンコハウス)の共同オーナーでアニメーション映画監督のRobert Kondo(ロバート・コンドウ)監督がいます。Grant(グラント)さんも彼らとはお友達だと思います。彼ら自身も言っていましたが、「あえてPixar(ピクサー)という素晴らしい環境を出てチャレンジした」という彼らの挑戦をどう思いましたか。

もちろん彼らのことはよく知っています。いまのPixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)は規模がかなり大きくなり、全てのスタッフやアーティストたちが表現したいことを実現できるわけではありせんし、コミットメントも多くなり、割り当てられるコストや資源も少なくなっているのは確かです。彼らの挑戦は、彼ら自身の新しい表現や表現方法、作品を確立するためにも大事なことだと思いますし、それが彼らの叶えたいキャリアの夢の目標であれば素晴らしいことだと思います。

——アニメーション映画監督のDaisuke “Dice” Tsutsumi(堤大介)監督とRobert Kondo(ロバート・コンドウ)監督の最新短編映画『Moom』(邦題:ムーム)は観ましたか。

もちろん観ました。2週間前にスタジオに遊びに行きましたよ。友好的な関係は続いています。とてもハイレベルなクオリティーだと思いました。これからもどんどんビジュアル手法を広げるプロセスを続けていってほしいと思いますし、いままで関わってきた作品、作ってきた作品も今後に繋げていってほしいと思います。今回の短編映画『Moom』(邦題:ムーム)は、クライアントからの要請で制作したプロジェクトだったので、今後は短編映画『The Dam Keeper』(邦題:ダム・キーパー)と同様に彼ら自身のための作品を作ってくれるだろうと、私は期待と応援をしています。

——Grant(グラント)さんは、先ほども話してくれましたが、日本国の映画やアニメーション、漫画も好きで、造詣が深いですよね。日本国のコンテンツについてどう思われますか。

私は元々SFのファンでもあるんですが、Pixar(ピクサー)にもカラフルで夢があるような世界観があるように、日本国の漫画やアニメーションにもファンタジーやとても引き込まれる世界観を生み出すものがあります。そういうところから日本国のクリエイティヴ・コンテンツに興味を持ち始めました。日本国のコンテンツは、大好きです。

——好きな監督はいますか?

映画監督/アニメーターの庵野秀明監督やアニメーション監督/アニメーターの今石洋之監督、映画監督/脚本家の山賀博之監督・・・他にも何人かフォローしているアーティストやアニメーターもいます。

ピクサー:グラント・アレクサンダーのアニメーション・映画制作への情熱に迫る(独占インタビュー#3)に続く⇒

 

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