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特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』東京国立博物館で開幕—自然を崇め大切にしてきた先人からのメッセージ

国宝 十一面観音菩薩立像が東京で初公開されている特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』が開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!

 
特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』
国宝 十一面観音菩薩立像(部分)/奈良時代・8世紀/奈良・聖林寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』

会場に再現された大神神社の三ツ鳥居の前に立つ国宝 十一面観音菩薩立像/奈良時代・8世紀/奈良・聖林寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

国宝 十一面観音菩薩立像を東京で初公開している特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』が、2021年6月22日(火曜日)から東京・東京国立博物館 本館特別5室で開催されている。

 

特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』の会場となっている東京国立博物館 本館特別5室には、仏教伝来以前の自然崇拝・自然信仰の形が現在まで続き、三輪山を御神体としている日本国最古の神社のひとつとして知られる奈良・大神神社おおみわじんじゃの三ツ鳥居が前面に再現され、その前にはかつては大神神社に付属する形で建てられた最も古い神宮寺である大神寺おおみわでら(鎌倉時代以降は大御輪寺だいごりんじ)にまつられ、現在は奈良・聖林寺に安置されている国宝 十一面観音菩薩立像じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞうが、360度様々な角度から観覧できるように展示。さらに江戸時代までは大神神社の神宮寺である大御輪寺にまつられ、現在は奈良・法隆寺に安置されている国宝 地蔵菩薩立像じぞうぼさつりゅうぞう、奈良・正暦寺に安置されている月光菩薩立像がっこうぼさつりゅうぞう日光菩薩立像にっこうぼさつりゅうぞうも約150年ぶりに同じ1つの場所に集結し、再会を果たしているほか、仏教伝来以前の日本国の自然崇拝・自然信仰を示す三輪山禁足地の出土品なども公開され、三輪山信仰にも迫っている。開幕前日の内覧会に出席した本展関係者やマスコミ・報道関係者は国宝 十一面観音菩薩立像の圧倒的な美しさと神々しさにため息を漏らし、「本当に素晴らしい」と口々に話していた。

本展は、本来であれば昨年2020年6月から開催される予定だったが、SARS-CoV-2 / COVID-19(新型コロナウイルスによる感染症)パンデミックの影響で延期となり、約1年越しに開催が実現した形となる。

ここで、特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』の全貌と見どころをご紹介する。

国宝 十一面観音菩薩立像

特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』

国宝 十一面観音菩薩立像/奈良時代・8世紀/奈良・聖林寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

奈良時代に木心乾漆造もくしんかんしつづくりという技法で造像された数少ない天平彫刻てんぴょうちょうこくのなかでも名品・最高傑作と称される国宝 十一面観音菩薩立像が、初めて奈良県を出て東京で公開された。優雅な表情、均整のとれた八頭身のプロポーション、姿勢や仕草の美しさを360度様々な角度から観覧できるように展示されている。会場に入ると、国宝 十一面観音菩薩立像の美しさと神々しさが目に飛び込み、圧倒される。国宝 十一面観音菩薩立像は、かつて大神神社に付属する形で建てられた最も古い神宮寺である大神寺(鎌倉時代以降は大御輪寺)の秘仏本尊として、薬師如来やくしにょらい10,000体が描かれた板絵を背に国宝 地蔵菩薩立像(現・法隆寺蔵)、月光菩薩立像(現・正暦寺蔵)、日光菩薩立像(現・正暦寺蔵)、重要文化財 不動明王坐像(現・玄賓庵蔵)、前立観音など多くの仏像と共にまつられていたようだが、明治新政府による政策・神仏分離令を機に親交が深かった奈良・聖林寺に移された。1897年に旧国宝制度が成立し、十一面観音菩薩立像が国宝に指定。戦後1951年の新制度移管の際には、第1次に指定されたわずか24件中の1件が十一面観音菩薩立像である。造像は、平城京の官営の工房とする説など諸説あるが、奈良時代・970年代に東大寺の造仏所で造像され、願主は第40代天皇の天武天皇てんむてんのうの孫である皇族・公卿の智努王ちぬおう文室浄三ふんやのきよみ)とする説が有力とされている。

POINT

国宝 十一面観音菩薩立像の背面には、かつて宝相華文ほうそうげもん宝相華唐草ほうそうげからくさ)の光背(現在は奈良国立博物館に寄託)が存在していたようだが、長い年月の間に大破した。今回、国宝 十一面観音菩薩立像 光背残欠こうはいざんけつも展示されている。国宝 十一面観音菩薩立像だけでも美しく神々しいが、光背があったとき、そして光背が復元され取り付けられときの華麗さを想像するだけでも鳥肌が立つくらいだ。通販サイト e+ Shopでも購入できる公式図録『特別展 国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』(価格 1,800円(税込))には、古社寺調査の際に撮影された一部光背が取り付けられている十一面観音菩薩立像の古写真も掲載されているので必見。美しさと神々しさが増し、さらに威厳な御姿となっている。

国宝 地蔵菩薩立像、月光菩薩立像・日光菩薩立像

特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』

国宝 地蔵菩薩立像/平安時代・9世紀/奈良・法隆寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』

月光菩薩立像(左)・日光菩薩立像(右)/平安時代・10~11世紀/奈良・正暦寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

 

特別展『国宝 聖林寺十一面観音 —三輪山信仰のみほとけ』
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会場となっている東京国立博物館 本館特別5室に入ると、目に飛び込んでくるのは、前面中央に再現された大神神社の三ツ鳥居の前に立つ国宝 十一面観音菩薩立像。内覧会では、その美しさと神々しさから、展示順をすっ飛ばし(※展示の観賞順については、会場の注意書きや係員の指示に従ってください)、まずは国宝 十一面観音菩薩立像を正面から拝し、それから360度様々な角度からじっくり拝し、今度は少し遠目の正面から目が合うように拝した。そして、展示の最初に戻り、展示順に観賞、終盤に国宝 地蔵菩薩立像、月光菩薩立像・日光菩薩立像を拝し、そしてまた国宝 十一面観音菩薩立像を拝す・・・こんな状況。笑、国宝 十一面観音菩薩立像は、ただただ見惚れてしまうくらい、いままで拝した仏像の中でも本当に美しかった。拝す価値あり!その国宝 十一面観音菩薩立像を後世に護り伝える新たな観音堂を建造するためのクラウドファンディングも実施されているので、聖林寺さんへのみなさまからの温かいご支援とご協力をお願いいたします。

 
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