やなせたかしの人生と絵とことばと—“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”その答えのすべてが「やなせたかし展」に
やなせたかしさん初の大規模回顧展「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」(東京会場)が開幕した!どのような回顧展になっているの!?記事を読み進めよう!


第5章〈アンパンマンの誕生〉 ©やなせたかし 公益財団法人やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
日本国が誇る国民的キャラクター アンパンマンの生みの親としても知られる漫画家/詩人/絵本作家/イラストレーター/デザイナー/編集者のやなせたかし(1919 – 2013)初の最大規模回顧展「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」(東京会場)が、2026年6月30日(水曜日)に東京・世田谷文学館にて開幕した。
高知・やなせたかし記念館アンパンマンミュージアムが今年で創立30周年を迎えることを記念して開催されている本展は、やなせたかしの複雑な人生を表すかのように会場の色彩も暗から明へと移り変わり、本展メインビジュアルとやなせうさぎが出迎えるプロローグ、真っ黒な壁に囲まれた第1章〈やなせたかし大解剖〉と第2章〈漫画 人とのつながり〉、やなせたかしが多用するレインボーコントラストの壁に囲まれた第3章〈詩 うたうように生まれる〉と第4章〈絵本とやなせメルヘン〉、アンパンマンの鼻と頬、コスチュームを彷彿とさせる真っ赤な壁に囲まれた第5章〈アンパンマンの誕生〉、紳士でロマンチックなエンターテイナー やなせたかしを表すかのように緑のストライプの壁に囲まれたエピローグ〈人生はよろこばせごっこ〉で構成され、原稿・自筆資料・複製・愛用品約100点、原画約200点、絵本や雑誌などの著作物約100点、総数約400点を展示し、“人を喜ばせること”を人生最大の喜びとしていたやなせたかしの人生と絵とことばを通して、私たちに勇気を与え続ける作品を紐解く。やなせたかしは、5歳で父を失い、7歳で母と別離したことによって寂しく悲痛な思いと、22歳で戦争に徴兵され、過酷な戦争を体験したことによって心に深く刻まれた「正義は逆転する」という思い——そして、“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”を自身に問い続けた結果、かっこ悪くても、本当に困っている人に一片のパンを、あんぱんを与えられる=自分を犠牲にしても困っている人を助ける、飢えた人に食べ物を分け与えること、人をよろこばせること、献身と愛が「逆転しない正義」という答えにたどり着き、その思いを表現するヒーロー像として「あんぱんまん」「アンパンマン」を形づくり、ストーリーとキャラクターにいのちを吹き込んだ。本展の随所に展示されているやなせたかしのことば、特に第4章〈絵本とやなせメルヘン〉に展示されている絵本『やさしいライオン』(フレーベル館)の原画や《無題》《絶望のとなりに》《かたつむり》の原画、第5章〈アンパンマンの誕生〉に展示されている『あんぱんまん』と『アンパンマン』の原画、直筆の「アンパンマンのマーチ(なんのために生まれて)」歌詞と楽譜、東日本大震災被災地の人々に贈ったことば、エピローグ〈人生はよろこばせごっこ〉では、やなせたかしが行き着いた答えのすべてが詰まっており、見どころとなっている。また、現代のCGやAIでは表現することのできない、日本国の昭和と哀愁を感じさせる手描きの漫画や絵画、イラストのタッチ、『あんぱんまん』『アンパンマン』誕生までもさまざまな作品にアンパンマンや登場キャラクターの片鱗を見ることができるので必見。時代が移り変わろうとも、決して変わることのないやなせたかしの生き方と精神、メッセージがここにある。日本国はもちろん、世界中で“自分至上主義”が蔓延り、権力者や公権力があるようでない権力を我が物顔で暴力的に振りかざし、暴走し、世界や国、文化、人の人格や人生までも滅茶苦茶に破壊する混沌殺伐とした現代に、本展は人々の生きる力(糧)と道しるべにもなるだろう。
1919年に高知県に生まれたやなせたかし。東京高等工芸学校工芸図案科(現・千葉大学)卒業後は、東京田辺製薬宣伝部に入社。徴兵され、復員後は高知新聞社で雑誌編集を担当。1947年に上京し、三越百貨店の宣伝部を経て、1953年に漫画家として独立。舞台美術、作詞、ラジオやテレビの構成も手がけ、1967年には「ボオ氏」で週刊朝日マンガ賞を受賞。1973年創刊の雑誌『詩とメルヘン』(サンリオ)の編集長を務めた。同年に『あんぱんまん』(フレーベル館月刊絵本『キンダーおはなしえほん』)を発表。1988年にテレビアニメ『それいけ!アンパンマン』が放送され、国民的人気を博す。代表作として、1961年発表の楽曲「手のひらを太陽に」の作詞や、1975年刊行の絵本『やさしいライオン』(フレーベル館)など、ほか多数。2013年に逝去、享年94歳。没後、2025年より放送されたNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、やなせたかしをモデルに物語が描かれ、改めてやなせたかしの生涯と精神、作品が注目、脚光を浴びた。
“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”その答えのすべてがここに——やなせたかし初の大規模回顧展「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」(東京会場)は、2026年9月6日(日曜日)まで東京・世田谷文学館にて開催。

やなせうさぎとアンパンマン 制作年不明 ©やなせたかし 公益財団法人やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
日程: 2026年6月30日(火曜日)から9月6日(日曜日)
時間: 10時00分から18時00分(展覧会入場、ミュージアムショップは17時30分まで)
休館: 毎週月曜日 ※ただし月曜が祝日・休日の場合は開館し、翌日休館
会場: 東京・世田谷文学館(東京都世田谷区南烏山1-10-10)
料金: 一般 1,500円(税込) / 65歳以上・大学生・高校生 900円(税込) / 中学生以下 無料 / 障害者手帳をお持ちの方 700円(税込)ただし大学生以下は無料 / 7月3日(金曜日)は65歳以上観覧無料
主催: 公益財団法人せたがや文化財団 世田谷文学館、NHK財団
後援: 世田谷区、世田谷区教育委員会
世田谷文学館
https://www.setabun.or.jp
やなせたかしさん初の大規模回顧展「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」(東京会場)が開幕!NHK連続テレビ小説『あんぱん』で再び注目を集めたやなせたかしさんの生き方と精神。やなせたかしさんの人生と絵とことばが輝くも、全体的に哀愁を感じる本展は、やなせたかしさんの創作のベースになっている幼い頃の寂しくも悲痛な思いと、戦争の過酷な体験による「正義は逆転する」という思い、そしてテレビアニメ『それいけ!アンパンマン』主題歌「アンパンマンのマーチ」の歌詞にもある“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”と自身に問い続け、行き着いた答えのすべてがある。作品一点一点をじっくり堪能でき、作品に表現された想いも知ることができる。『あんぱんまん』『アンパンマン』以外のキャラクターや作品も必見。すべてが優しさでできている。日本人の戦後の精神は、すべて『アンパンマン』にあると言っても過言ではない。いつからこんな日本国や世界になってしまったのか知らないが、私利私欲に塗れた権力や世代がのさばる現代に、本展は“他者のため”に人をよころばせることや献身、愛の大切さを伝える。特に若い世代には、本展をヒントに、自分も“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”を考え、これからの生き方の指標にもしていただきたい。



