世界を掴んだディズニー・オフィシャル・アーティスト:カズ・オオモリの才能と信用―インタビュー

 
© 2017 So Mishima

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Kaz Oomori: ギャラリーワークでは、続編という意味の『Sequel』という展覧会もあるんですよ。

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Kaz Oomori: これは、映画『Fight Club 2』(邦題:ファイト・クラブ2)をイメージして作りました。まだ実験段階なので小さなサイズのシルバーの用紙にプリントしているんですが、実際にはB1くらいのサイズになります。Marvel映画『Avengers: Age of Ultron』(アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン)のアートワークの方は、触っていただくとわかると思うんですが、インクの部分が凸凹しているんですよ。

江渕良平: 本当ですね。これは、日本国で特殊印刷をしているんですか。

Kaz Oomori: 日本で特殊印刷をして、印刷したものをアメリカに送って、ギャラリーの方で展示をしてくれるんです。こういった挑戦もしています。

江渕良平: ラフ画の一部を赤い鉛筆で描いたり、映画の登場人物やアニメーションのキャラクター、風景などのイラストレーションにボーダー(線)やドット(点)を落とし込んで、光や影、動きを表現したりと、Kazさん独特の技法がありますよね。独特の技法はいつ頃から確立されたんですか。

Kaz Oomori: それは、アメリカにいたときくらいからですかね。

江渕良平: 自分のオリジナルの確立するために研究と分析を重ねた結果、辿りついた技法なんですね。

Kaz Oomori: そうですね、そうですね。

江渕良平: いままで苦労したことや努力したこと、いま努力し続けていることはありますか。

Kaz Oomori: いまだに努力だらけです。たくさん仕事をしていると寝れないですよね。そうすると絵に力が入らなくなってしまうので、モチベーションを上手くキープさせて肉体的にも精神的にも健康でいられるようにはしています。僕のスタジオは、ここ2、3年、椅子がないんですよ。スタンディングデスクで仕事をしています。それも健康維持の方法の一つです。

江渕良平: イラストレーションを描くためやインスピレーションを得るためにたくさん映画を観たりはしないんですか。

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Kaz Oomori: あまり観ないんですよ。観すぎると影響を受けすぎてしまうので。実は、映画関連のイラストレーションを描くときは、作品の本編は観ないんです。映画『Kong: Skull Island』(邦題:キングコング:髑髏島の巨神)もまだ観ていません。(笑)資料やトレーラーのデータのみでアートワークを手掛けます。音楽は聴きますね。サウンドトラックを聴きながらイメージを膨らませて描いています。後は、仕事ではないんですけど、普段からプライベートでたくさんのスケッチをしています。映画のキャラクターであれば、自分で調べて描いたり、自分だったらこういうテイストやタッチで描くというようなことも含めてスケッチしています。

江渕良平: 本編を観ないということは、まだ作品を観ていない、これから観ようとする観客と同じ目線になれるということですよね。

Kaz Oomori: そうなんです。自分が映画館で作品を観たときに「こういう世界観だ」というのを想像するんです。ただ、一番怖いのは、ストーリーを間違えるといけないので、ラフ画の段階でチェックしてもらいますけどね。(笑)

 

Kaz Oomori: このアートは、Walt Disney(ウォルト・ディズニー)さんとMickey Mouse(ミッキーマウス)のスケッチとWIP=Working Progress(制作過程)、アートワークです。お世話になっているDisney(ディズニー)のチームにギフトとして描いたものです。

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※画像はクリックすると拡大できます。

江渕良平: Kazさんは、いま母校でもある奈良芸術短期大学で准教授としても学生さんに教えていらっしゃいますが、まず奈良芸術短期大学とはどんな学校なのでしょうか。

Kaz Oomori: 奈良芸術短期大学は、少人数制で、どちらかというと日本の伝統的な芸術が学べる学校です。陶芸や染色、日本画などが中心です。

江渕良平: Kazさんは、学生さんにどんなことを教えていらっしゃるんですか。

Kaz Oomori: アイデア、ドローイング、デッサン、平面構成などです。平面構成は、発見シリーズというものをやります。発見シリーズ「点」、発見シリーズ「線」、発見シリーズ「面」・・・というように続いていくんですが、身の回りにあるものから「点」「線」「面」・・・を集める授業なんです。これは何でも良いんです。「点」の場合は、針でプチプチプチと穴を開けても「点」だし、鉛筆の先端をトントントンと置くのも「点」だし・・・でも、“君にしか発見できない「点」”や“君にしか表現できない「点」”を5つ、A4の用紙の中に集めてきてくださいと伝えると、例えば、よくあるのはパンチングで穴を開ける学生もいますし、中には面白い学生は用紙に漢字で「点」と書いてくる学生もいます。そっち!?とも思いますけど、発想や捉え方なので“あり”なんですよ。今度は、音楽を聴いてもらって、発見シリーズの表現方法を上手く使って、音楽を表現するというような授業もしています。イラストレーションの授業では、“フィギュアのドローイング”という言い方をしているんですけど、時と場合によるんですが、コスプレをしてポーズをとってもらって、それをチームでデッサンするという授業もしていますね。デジタルワークでは、AdobeのIllustratorやPhotoshopのビギナー編から応用編というのもありますし。メディアクラスでは、作画演習、いわゆるアニメーションの授業もしています。

江渕良平: Kazさんが学生時代に学んだことも生かして、学生さんに教え、伝えているんですね。

Kaz Oomori: 僕が奈良芸術短期大学のOBということもあって、学生時代に先生との距離感の近さやわからないことはすぐに教えてくれることなども含めて、今度はそれを僕が実践するようにしていますし、アメリカで通ったThe Minneapolis College of Art and Design, MCAD(ミネアポリス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン)で学んだことや現場で必要だと思ったことも含めて、教えています。

江渕良平: いま手掛けている、或いは、今後発表する作品などがあれば、教えられる範囲で教えてください。

Kaz Oomori: それが、まだ言えないんですよ・・・皆さんに楽しんでもらえるアートワークや作品を制作中ですので、楽しみにしていてください!

江渕良平: Kazさんの夢や目標を教えてください。

Kaz Oomori: ずっと描き続けたいです。後は、自分のプロダクトを作りたいと思っています。スニーカーにグラフィックアート的なものを描いたり、文具のパッケージングを手掛けたり、アパレルやスニーカー、時計などとのコラボレーションも・・・色々やっていきたいですね。

江渕良平: すぐに実現できそうですね。私にも何か力になれることがあれば協力させていただきます。
江渕良平: Kazさんから日本国の若者たちにメッセージをお願いします。

Kaz Oomori: 日本は日本で良いところがたくさんありますが、是非、海外に出て行っていただいて、世界に発信できるような人財になっていただきたいです。僕もこうなりたいな、やり続けたいなと思い続けて、ここまで来ました。自分が何か得意なものでも良いので、やり続けて、こうなりたいなと思い続けたら、実際にできる。これは僕が実践してきたことでもありますし、これからも実践して魅せていくことができると思います。ベタですが、夢を諦めないで、腐らずにやり続けてください。

     
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