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中国人初宇宙飛行士の楊利偉(ヤン・リィウェイ)が初来日—宇宙飛行士の毛利衛と共にトークイベントに登壇

 
宇宙飛行士 毛利衛、宇宙飛行士 楊利偉
©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
宇宙飛行士 毛利衛、宇宙飛行士 楊利偉

©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

中国人初の宇宙飛行士で、中華人民共和国の有人宇宙飛行プロジェクト副総設計士/人民解放軍 少将の楊利偉(ヤン・リィウェイ)が初来日し、2019年12月14日(土曜日)に東京・日本科学未来館で開催されたトークイベントに登壇した。

 

2003年10月に中華人民共和国初の有人宇宙船「神舟5号」に搭乗して宇宙を訪れた楊利偉(ヤン・リィウェイ)の初来日を記念し、1992年に日本人として初めてスペースシャトル・エンデバーに搭乗して宇宙実験をし、2000年には再びスペースシャトル・エンデバーに搭乗して高精細立体地形図作成ミッションを成し遂げた宇宙飛行士で日本科学未来館館長の毛利衛とのトークイベント『二人の宇宙飛行士がみる未来の宙(そら)』が開催され、それぞれの経歴が紹介されたほか、宇宙での体験談をはじめ、事前申し込みをした一般の来場者からの質問に答える形で科学技術の発展、宇宙開発の意義、宇宙をテーマにした科学技術や教育分野に関する日本国・中華人民共和国間の協力の可能性や交流のあり方などを議論。

中華人民共和国独自の中国宇宙ステーション(CSS)の完成予定について、楊利偉(ヤン・リィウェイ)は「計画では、2022年の年末に建設が完了する予定です」と建設完了予定を公表。日本国と中華人民共和国の宇宙開発協力の可能性について、毛利衛は「宇宙関連の協力は随分されています。研究者レベルの交流はありますが、宇宙飛行士としての具体的なミッションを一緒にしようということはまだないんですね。色んな政治的な難しさもあるんですけど、これから何ができるかというのを探るときだと思います」と政治的な難しさと模索の必要性を答え、楊利偉(ヤン・リィウェイ)は「まず毛利さんと一緒にこの席につけたということに大きな意義があると思います。宇宙開発と発展には、国際協力が非常に重要になります。国際宇宙ステーションでは、国際協力を取り入れています。日本を含めて世界各国が協力して宇宙飛行士の訓練をし、一緒にミッションをこなす。さらに国際宇宙ステーションを共同で運営し、さらにその成果を広める日が1日も早く訪れることを願っています」と国際協力の重要性を交えて答えた。また、政治的な理由で日本国と中華人民共和国の宇宙開発に関する協力が難しい中、両国が協働してやっていくべきか、それとも独立しながら切磋琢磨していくべきかについては、毛利衛は「私は両方とも必要じゃないかと思います。それぞれ文化を持っていますので、ユニークな研究、技術というのは、独自にやってはじめて生まれます。それから競争も大事だと思うんです。有人宇宙飛行の場合、私たちは人類を代表して宇宙に行きます。何のために宇宙に行くのかというと、この地球に人類がいつまでも持続的に住むことができるような環境を守るという観点からです。宇宙開発は、最終的には国際協力をする必要があるんだろうなと思います。いまはまだ色んな意味で難しい状況ですけども、お互いにコミュニケーションを続けていき、これから色んな意味で協力が可能になると思います」、楊利偉(ヤン・リィウェイ)は「国際協力というのは、いまのトレンド、流れだと思います。私たちの政策は、いかなる国に対しても解放、オープンでいるというのが政策です。政治の原因もあるかもしれませんが、これは根本的な問題ではないと思います。様々な時代において、様々な規模で、様々な協力が可能だと思います。例えば、いまやっている交流ですね。こういう交流を推進していくことで、素晴らしい基盤になっていくと思います。どの国でも協力というのは、人類の進歩において重要だと思います。他の様々な分野でも交流し、理解を深めていきたいです。多くの宇宙飛行士の間で、科学技術者・機関の間で、このような大規模な交流が可能になることを期待しています」と、2人はコミュニケーションと交流が宇宙開発における国際協力の基盤になるとの共通の認識を示した。

 

月と火星の探査の最大の利益については、楊利偉(ヤン・リィウェイ)は「科学の発展そのものが私たち人類に大きな変化をもたらしてきました。科学技術が単なる人と人との間を縮めただけではなく、人との情報交換の距離を縮めることができました。火星や月の探索について、人類の未知への好奇心と探索は、人類の進歩だと思います。コンスタンチン・ツィオルコフスキー(ロシアのロケット研究者/物理学者/数学者/SF作家)が言ったと思いますが、地球は人類のゆりかごです。しかし、人類はゆりかごに留まることはないと思います。科学の発展を通じて、私たちの生活空間を無限に拡大し、人類の運命も拡大していくと思います。私たち人類に新たなものをもたらしてくれると思います。これも科学の恩恵だと思います」と科学技術が人類にもたらした恩恵が利益であるとし、毛利衛は「宇宙から地球全体が見えるんですけど、私が一番最初に宇宙に行って漏らした言葉が「地球には国境が見えない」ということを言いました。地球の国境は、人間が勝手に人口的につくったものなんですね。空気も水も鳥も植物も(国境に)関係なく行き来します。宇宙飛行士は、宇宙に行くときにパスポートを持っていきません。宇宙条約というのがありまして、私たちはいざというときにどの国に帰還するかわからないので、宇宙に行く前にパスポートを取り上げられるんです。例えば緊急帰還したら、どの国でも私たちを迎え入れてくれるという共通の条約があります。ヤンさんも私も宇宙に出るときは、国を代表するのではなく、地球を代表しています。宇宙から見る視点が、少しでも国を越えた将来に役に立ってほしいと思います」と誰かが勝手につくった概念に捉われることなく、国を越えた地球・宇宙規模で考えることができる視点について語った。

最後に、毛利衛は「日本科学未来館は、私たちが科学技術を使って将来社会にどんなふうに貢献できるかということで、多く研究者が色んな展示を考え、一生懸命に皆さんとコミュニケーションしています。私が宇宙から地球を最初に見たのが1992年、2回目のときが2000年でした。地球の人口は、1992年のときは55億人だったんですが、2000年のときには61億人になっていました。そして、いま77億人を超えようとしています。急速に人口が増えて、2050年くらいには100億人になると予想されていますけど、私はそれほど簡単ではないんじゃないかなという気がしています。いま、色んな問題があります。気候変動、動植物の多様性の変化など、色んな問題を私たちは解決しなければいけないんですが、科学技術で解決できるものもありますが、それ以上に他の協力を得ないといけないと思います。政治的、ビジネス的、宗教的、色んな価値観もあります。そういうものをどうやったら上手く100億人になるために持っていけるかということを考えています。そういうところが日本科学未来館です。今回は、中国からの(参加者の)方々が多く、若い中国の方々はこれから地球に大きな影響力があると思いますので、地球全体のことを考えていただいて、(中国語で)挑戦未知、挑戦極限(未知に挑戦し、極限に挑戦)してください」、楊利偉(ヤン・リィウェイ)は「私は、毛利館長を宇宙飛行士としてだけではなく、日本科学未来館で多くの若い人たちにメッセージを与え、尽力されていることに尊敬しています。若い人たちには、より科学に興味を持って、科学の力を生かして、人類に幸せをもたらすようにしていただきたいです」と若い世代にメッセージを送り、人類が手を携えて宇宙を探究することを呼び掛けた。

 

©︎ Miraikan – The National Museum of Emerging Science and Innovation

 

     
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