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恐竜の進化に迫る特別展「恐竜博2023」が国立科学博物館で開催—生物多様性を減らさないこと、人間を含む地球の未来のために

“攻・守”をテーマに恐竜の進化に迫る特別展「恐竜博2023」が国立科学博物館で開催されている!どのような恐竜博になっているの!?記事を読み進めよう!

 
特別展『恐竜博2023』
日本国初公開となるズール・クルリヴァスタトルの全身骨格とゴルゴサウルス・リブラトゥスの全身骨格(複製・ロイヤルオンタリオ博物館所蔵) ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
真鍋真博士による解説

ケラトプス科の未記載種は、“新種ではないかな?”ということで、新種を提唱する論文が審査を受けている状況です。無事に審査が通って会期中に論文が発表されることになれば、新種の名前も知っていただき、新種に会いに来ていただければと思います。

T.rex第3章 北半球における獣脚類の進化

恐竜博 2023

ティラノサウルス・レックス “タイソン” 全身骨格(タイソン ティラノサウルスレックス合同会社所蔵)と、ティラノサウルス・レックス “スコッティ” 全身骨格(複製・むかわ町穂別博物館所蔵) ©︎ Tyson T.rex, 2023 ©︎ Courtesy of The Royal Saskatchewan Museum ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

第3章「北半球における獣脚類の進化」では、ティラノサウルス・レックス(ティラノサウルス科)“Tyson(タイソン)”の実物化石を組み込んだ全身骨格が世界で初めて公開されているほか、“タイソン”と並んでティラノサウルス・レックス“Scotty(スコッティ)“の全身骨格(複製)も公開されている。大迫力の2頭が並び、いまにも動き出して狩りをしそうな姿は、後期白亜紀の北半球において生態系の頂点に君臨した王の風格を感じさせる。

恐竜博 2023

ティラノサウルス・レックス “タイソン” 全身骨格(タイソン ティラノサウルスレックス合同会社所蔵)/資料画像 ティラノサウルス・レックス “タイソン” 上腕骨の咬み痕・腕骨の咬み痕部分の拡大 © Tyson T.rex, 2023 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi


 

ティラノサウルス・レックス“タイソン”は推定全長約11.2m、全身骨格はアメリカ合衆国モンタナ州に分布するヘルクリーク層から発見された頭部の一部(前関節骨)や、胸の叉骨、前あしの上腕骨、脊椎骨、腹肋骨など、ティラノサウルス・レックスの中でも発見例が少ない部位の実物化石を使って組み立てられている。6600万年前から時が止まっていたかのような良好な保存状態で、骨表面の形態まで詳細に観察することができ、ティラノサウルス・レックスなど獣脚類の生態・行動について理解を深めることができる貴重な個体となっている。まだ研究中ではあるが、体の各部には病気や外傷などに起因すると考えられる特徴がみられるほか、ティラノサウルス・レックスでは産出例の少ない上腕骨にも平行な咬み痕があり、骨が再生しているような特徴が認められ、“タイソン”の死体が漁られたわけではなく、“タイソン”が生きているときに傷を負い、生き延びて傷が治癒したことが想像されるという。咬み痕の形態的な特徴から、“タイソン”よりも体の小さなティラノサウルス・レックスが腕に咬みついたと考えられているようだ。

恐竜博 2023

ティラノサウルス・レックス “スコッティ” 全身骨格(複製・むかわ町穂別博物館所蔵) ©︎ Courtesy of The Royal Saskatchewan Museum ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi


 

特別展「恐竜博 2023」
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特別展「恐竜博2023」も世界初・日本国初公開の化石や全身骨格が展示され、予想以上に見応えがあり、恐竜の進化から絶滅、そして多様性までを学ぶことができる。現代の人間社会では、さまざまなところで多様性と包括性の重要性が叫ばれてはいるものの、“自分が正しい”“自分が偉い”“自分が一番”という“自分至上主義”、さらには人種差別やLGBTQI+差別、排他的・不寛容な空気も蔓延り、なかなか進歩していないのが現実。しかし、恐竜の進化・絶滅・多様性とその史実から、人間を含む生物多様性の重要・必要性を知り、学ぶことができる本展は、画期的である。太古の地球に生きた恐竜の貴重な実物化石や骨格標本をいま私たちが観ることができるのは、発掘や研究に携わる人々の努力の賜物であることと、彼らへの感謝も忘れてはならない。本展の内覧会に出席したSAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーの戸井田晃典さん(俳優)は、「「いまは第6の大量絶滅の時期にきている」と言う真鍋先生のお話と、本展終盤にある人間の乱獲などによって絶滅してしまったドードーが自分の中でリンクしたことです。恐竜の化石や、テレビ・映画で恐竜を見たことがあっても、どこか“昔の話”として片付けていた部分がありましたが、真鍋先生のお話をお聞きして本展を観ることで“実際に存在した生き物”という認識に変わりました。自然の摂理の中に種の競争や絶滅が存在することはごく自然なことだとは思いますが、人間の手で他の種や生物の絶滅を早めては絶対にいけないのだと思いましたし、生物多様性の重要性も学ぶことができました。賀来賢人さんが登場したオープニングを見学させていただいたことも貴重な体験でした。賀来賢人さんの音声ガイドを聴きながら展示を観ることで、一緒に回っているような気持ちになって楽しかったです!とにかく声が良い!僕の質問に丁寧に答えて教えてくださった真鍋先生、ありがとうございました!」と感想を寄せた。追加情報として、イタリア共和国以外では世界初、日本国初公開となる“奇跡の赤ちゃん恐竜”スキピオニクスの実物化石が来日し、3月24日(金曜日)から本展で公開!この貴重な機会を見逃すな!

 
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