企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』開幕—マンモスと一緒に生命とは何かを考える

 
企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』
年代:17,800年前/発掘時期:2002年/発掘場所:ロシア連邦サハ共和国ウスチ・ヤンスク地区イリン・ヴィラフチャアンニア川下流地域 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

未来(2XXX年)

マンモスは復活するのか・・・生命科学技術の発展は、永久凍土から発掘されたマンモスの冷凍標本を通じて、人類に「マンモス復活」という新たな夢と挑戦をもたらし、世界中の様々な研究機関が取り組んでいる。日本国でも近畿大学が「マンモス復活プロジェクト」を立ち上げ、ベールに包まれたマンモスの全貌を最先端の生命科学研究によって解明しようとしている。この展示ゾーンでは、最先端の生命科学の”いま”と“未来”、そして、そのあり方について考える。

近畿大学「マンモス復活プロジェクト」

企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』

ユカギルマンモスの復元像 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

現在、世界中の様々な研究機関が、マンモスを復活させようと挑戦している。しかし、倫理的な問題や生態系への影響など、私たち人類が考えなければならない様々な課題や問題が山積していることから、小説家/SF作家/映画監督/脚本家のMichael Crichton(故・マイケル・クライトン)が1990年に出版した著書『Jurassic Park』(『ジュラシック・パーク』)、映画『Jurassic Park』(邦題『ジュラシック・パーク』)シリーズや映画『Jurassic World』(邦題『ジュラシック・ワールド』)シリーズのように、実現とまでにはいかない。最新の研究によっても従来の科学技術だけではマンモスを復活させることは難しいことも判明している。そんな中、近畿大学の研究チームがマンモスの生態を含む全貌解明に向け、最先端の生命科学研究を展開。生命科学の最新技術と先端的知識を駆使し、状態の良いマンモスの冷凍標本から遺伝情報やタンパク質情報を取り出し、マウスの卵子に移植したところ、細胞分裂の直前に起こる紡錘体の形成が5例、移植した細胞核が動き始めたのを1例確認し、マンモスの細胞核が動き始めたことが確認された。ただ、全てがうまくいっているわけではなく、課題も明確になっている。このように、状態の良いマンモスの冷凍標本には、生物学的活性を維持する細胞核が存在していることを最新の研究で実証し、数万年前のマンモスの細胞に起きていた生命現象の一端を現代に蘇らせることに成功した。この近畿大学の「マンモス復活プロジェクト」を漫画でわかりやすく解説しているほか、近畿大学准教授の山縣一夫先生自ら研究室を完全再現し、研究機材や研究ノートも展示されている。ユカギルマンモスの等身大の復元像も展示されており、近い将来マンモスが復活することを予感させるロマン溢れる展示となっている。

世界初公開のケナガマンモスの鼻(冷凍標本)

企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』

ロシア連邦 特別重要文化財「ケナガマンモスの鼻」冷凍標本/年代:32,700年前/発掘時期:2013年9月/発掘場所:ロシア連邦サハ共和国ノボシビルスク諸島マールイ・リャホフスキー島 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

 

企画展『マンモス展—その「生命」は蘇るのか』, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

 

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